平準化する世界に対抗するために ??池袋ぽえむぱろうる閉店に寄せて/岡部淳太郎
 
詩を提供する場のひとつに過ぎない。ぱろうるが閉店しても、都内の大型書店などに行けば相変らず詩集は売られているし、世界中のあちこちで詩は書かれ読まれているのだ。だが、僕にとっては、ぱろうるの閉店というのは、詩が世間から忘れ去られ、マニアの玩弄物に成り下がってしまったことを象徴するような出来事に見えてしまう。
 平準化する世界の中で、人々は何となく息苦しい思いを感じながら、それでもその息苦しさの原因が何なのかわからずに、ただ日々を消費しているだけのように見える(僕には、そんなふうに見えて仕方がない)。詩に意味があるかどうかはわからない。だが、僕自身の詩が好きであるという気持ちはわかる。意味があるようなないようなわけのわからないものだからといって、詩を「いらないもの」にされてしまったらたまらない。たしかに少数ではあるかもしれないが、世界には詩を愛している人が確実に存在しているし、彼等は詩を書き、詩を読み、詩について語るのをやめはしない。平準化する世界に対抗するために、詩を愛しているという思いを、今後ますます強くして生きたいと思う。



(二〇〇六年五月)
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