人食いびと/
山本 聖
、嘘ばかり
では真実の味とは何の味がする?
我が小指を噛んで噛んで噛みしめて錆びた液体を啜る春の日々
陽だまりの芝生の上に落ちた赤い鉄の幾粒もの雫を呆然と眺め
自己をこのように削り落としながら生きるのはまるで他者の血の砂糖菓子の風味です
ゆくりなくカニバリストである我らを発見した私たちにとって
世界は笑い落とすにしか値せぬ、笑いは、永遠に止まらぬ
涙がとめどなく迸るほどに
世界は冗談でできている
世界は、冗談で、できている
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