三日月の涙/山崎 風雅
 
 恋人を待つように
 明日を待ちわびる
 
 繰り返し押し寄せる波のように
 昼と夜が交互に入れ替わるように
 毎日の出来事は移ろい変る

 過ちを犯しても挽回のチャンスは与えられるのよ
 と
 彼女は僕を励ますから
 見えずに無気味な壁をつき破るのだ

 水の旨い伏見の暮らしは
 人柄のよいご老人の街
 無理しなさんなやと
 年輪を重ねた顔で交わす挨拶

 そう
 古の風は忘れた頃に吹きぬけて
 先の見とおしのよいカーブをまがるように
 なだらかに時間は綻んでいく

 膨らみ熱を佩びるこの心
 コンクリートでも冷めさせはしない

 間違いを犯さぬ者などいるものか
 赦しのシンボル
 三日月の涙



 
 
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