仮面の舞踏/前田ふむふむ
凍りつく落日が、煌々と浮き上がる、
退廃の翼が燃えている丘陵地帯を
毅然としたまなざしが、顔を引き攣らせて、
走り抜けてゆく。
夜ごと、記憶の手帳に書き加え続けた
凛々しい言葉は、荒れ狂う午後の海の防波堤で
空しく砕け散るのだ。
わたしは、二度と描けない、真夏の雪景色で充たした
鳥瞰図を、しげしげと暗い地下室の小部屋の
割れた鏡のなかから眺めている。
いつまで続けるのか。
この滑稽な舞踏会の会話は、
すでに壊れているメトロノームに、合せて動いてゆく。
壊れた機械が主体を獲得する冷えた溶鉱炉は、
燃え盛っているのだ。
どこまで続けるのか。
この無表情の仮面で偽
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