蛙の日/たりぽん(大理 奔)
雨の降る夜の帰路
高速を降りてからの長い田舎道
前照灯が照らす小さな視界に
跳ねるものがあるのだ
灯火の中それは白く見え
雨粒とは違う動きで
ぬれたアスファルトの上を
道一面に跳ねるのだ
なんということだろう
私は、私の運転するこの車は
タイヤを一回転させるごとに
1メートル30センチを進み
それらは次々と視界へ
跳ねては消えていく、そして
前照灯が照らす轍には
動かない、跳ねるものがあるのだ
もうその中を10分も走っているのに
ああ、私は止まらなければ
しかし雨は家へと追い立てる
一回転、また一回転
私は曖昧な、絶対的な
霊的で、聖な
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