熱の華/イオ
熱を帯びた肌に触れる衣が
不愉快だ
ふくれた毛穴を逆なでする
ああ どうか
放っておいてください
できれば
___ここにいる、のはなぜか
全ての結果には原因がありそしてわたしはここにいる
が、思いつくのは
悲しい悲しい悲しい
暗闇にひっそりと咲く熱の華
カタカタカタ と
キーボードは鳴るのだが
鼓動とはほど遠い
しかし
詩人はそれを命の鼓動だと信じている
信じようとしている
数十年前の産声は
歓喜ではなかったのか
そうだったはず
だが 既に記憶は失われて
暗闇にひっそりと咲く熱の華
モニターに映し出された文字列を
いとも簡単に消すことは
できるはず
しかし カタカタカタ、と
聞こえるので
手はそうしない
その音は
産声なのか
華がひらく音なのか
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