明星/嘉野千尋
 
  朝焼けがまだ
  始まらないので
  本当は昨日
  あなたに届くはずだった
  手紙のことを思った


  夜明け色の
  手紙を贈って欲しい
  君と一緒に
  指差して、星を探した
  あの日の朝の
  空のような


  思い出にするものだけを選んで
  別れの朝に抱きしめる
  剛い心でいようと
  願ったはずなのに
  ただ頑なでいただけなのか
  ぽきりと折れた、わたしの心


  夜明けの空に
  まだそっと
  残されたままの星を
  希望のように信じていたあの頃
  あなたの眼差しを追うたびに
  いつも遠くを見つめて
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