こよみ 皐月/蒼木りん
嗚呼もう
栗の花が咲く時期なんだろうか さくらは
もう終わったんだっけ
そう 5月だ
鯉のぼりも しまう日
四十を前にして
耄碌したものだ
お弁当を忘れたのも
あさってに気づく
たとえば
低迷期が 三年つづくとしたら
後 もう一年
時を止めて
待っていても
あの人は来ないから
翻って歩き出す
また いつか
栗の葉陰に隠れて
逢引などもいいでしょう
男というのは
自分の気持ちが満足するまで
女に求めるものなんだ
女みたいな愚痴
あなたは女みたいなところがある
あなたの都合で
急かされるのは うんざり
すれ違う車の男は
かならず
阿呆面でこちらを見ている
小綬鶏が本気で叫ぶ 朝
夢は 現に
やはり
萌えだす季節にこそ
酔える
あの匂いに
頭がおかしくても
笑って 抱いてくれませんか
戻る 編 削 Point(1)