行かなきゃならぬ/山崎 風雅
 
 ネオンが瞬き始める夕暮れに
 あの娘は小さな部屋でもがいてる
 
  すぐ行かなきゃ

 隣り街まで各駅で行く
 群集に混じっても
 僕は詩人
 
 皆が見落とす雫を拾い集め
 夜へと加速する電車の中で
 詩を綴る

 一人一人違う思惑を携え
 電車は夢を運ぶ

 あの娘は白い壁に囲まれて
 僕が来るのを待っている
 そう 
 待っている

 僕は幸福だ
 あの星のように幸せだ

 あの娘の喜ぶ顔が
 ふわふわ
 車窓に浮かぶ


 
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