ことばのあとは/ZUZU
言いたいことは
なにもなかった
ことばがそんなにえらいのかい
ことばでそんなにいえるのかい
ことば
犬がにゃあと鳴いた
猫がわんと鳴いた
蝉がさめざめと鳴き
象の鼓膜もやぶれた
石はなにも言わなかった
雲はなにも言わなかった
ぼくはずいぶんしゃべりちらかした
でもほんとうは
なにひとつ
言いたいことはなかった
ことばがうんこのように
色や形や匂いのあるあらわれならば
ぼくらはそれでも
こんなにしゃべったりするだろうか
世界がことばで
うまってしまうとしても
ことばの清掃車が
毎日毎日
燃えることば
燃えないことば
リサイクルことばに
分別してもっていくのだとしても
死人にくちなし
ぼくもうまれるまえはことばをもたず
死んだあとにもことばはもたない
きみがねえときく
ぼくがうんとこたえる
それからあとは
なにひとつ
なにひとつ
たしかめあうことも
いいたいこともなかったはずだけれど
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