それはいつか消えゆくのだから/春日響
 
忘れる前に振り向いて
氾濫した川に飲み込ませて流させて
嗚呼 今日は月が明るい
だなんて呑気に呟く場合じゃない
鋭い眼光で凝視して

無駄な笑いは捨てましょう
胡蝶蘭でも何でもない
それはただ醜いだけって
酷な顔で泳ぎましょう
それでもあたしはあなたが好きです

溺れても息が絶えても
忘れる前に振り向いて
どす黒い水もきらり
どこか光を反すはずだ

戻る   Point(1)