ピアス/なるせ
久しぶりにつけようと思ったのに
君と別れてから六日目の夜に
ピアスの穴が塞がった。
そういえば君がいつも僕に贈るのは
ピアスだったな
と、
そのとき初めて思い出した。
もう、本当に、傍に、きみは 。
無理に通そうとしても痛むし
君がいないなら
もうピアスが増えることもないな
と、
どこか冷静になって
鏡から目を離す。
あの日
僕を拒んだ君の身体のように
その先端を貫くことを
拒んだ
僕の
左耳。
窓の向こうで
季節(とき)が流れていることも忘れて。
戻る 編 削 Point(0)