氾濫/AKiHiCo
 
僕たちの住む世界には
沢山のものが溢れ過ぎて
何を選べばいいのか判らない
手に取っては捨てて
また違うものを探して歩く

どれも輝いて煌いて
何も劣ってはいないのに
この中から一つだけを
選ばなくてはならない
手に取ってはまた
元の場所に静かに置く

枯れ果てた荒野で
光る砂が眩しくて
舞い上がる何もかも全てが
虚空を彷徨っている
誰にも届かない場所で

手を伸ばしても
最後には何一つとして
僕は掴めないまま
この世界を歩き続けながら

僕を掬い上げてくれる誰かを
静かに待ち続けている
罅割れた硝子の上を裸足で
歩くようにそっと
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