私/db
が、あろうことか私は睡魔に何度も襲われて舟を漕ぎました。
手術は成功でした。しかし、父の胃を蝕んだ癌細胞はすでに全身にくしゃみの飛沫のように散らばって転移していました。結果、父は病院で入院、通院、その度の薬の投与を余儀なくなれました。以前とまで違って食べ物さえろくに摂ることはできず、食べてもすぐにもどしてしまう、という難儀な身体になってしまったのです。流動食でももどしてしまう父の姿は怖いくらい今にも壊れそうで、それなのに私はもどってくる食べ物の光景を気持ち悪いとさえ思いました。
母はそれこそ一所懸命父を支えています。励まし、時には慰め、あるいは叱咤することもありました。痩せ細り、薬
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