フェイドアウトシンドローム/鈴本 蘭乃
 
きみの白いやわはだに
ひやり、刄の感触

まるで無機質なそれからは
鼓動をまったく感じない

手を動かせば血がにじんで
きみはちいさく鳴咽を漏らす

白い肌に映える赤いコントラスト
ぼくにはすこし眩しすぎて、
くらり、めまいを覚えるんだ

幾つかの筋がきみの腕に線を描いて
ぼくはそれをひとつひとつなぞる、なめる


ねぇ、泣かないでよ、鳴かないで
きみの望んだ未来じゃないか

(狂気と快楽と絶望の狭間、
ぼくたちにはなにも見えない、
ぼくたちはなにも掴めない)
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