迎春/nm6
 
自覚と
欲望の先にある、なんて本当に本当かなと
よく覗けばぼくらの日常になんてことばが足りていないか
嘘を蹴散らして気づいても春、という5月の
何もないぼくらのようなちいさい音楽を
悠々とした三時半の午後がこぼれたまま
こぼれたまま、歩いたり滑ったりしている

(その駅は、黄色い線の入った電車があまりにありふれていて、細かな線の入ったぼくらがあまりにありふれていなくて、ただ消えてしまうというだけで心したところの、水のほとりだというだけで涙するところの)
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