名も知らぬ草花/山崎 風雅
 
 重苦しく背負った影を
 どこかに降ろそうと
 少しひんやりし始めた夕暮れ時に
 ぶらぶら散歩した

  ふぅー

 一息つく

 風景は確かに初夏の緑に包まれていて
 日差しも確かに夏に加速していた

 草花なんて興味なかったけど
 よく見ると無知な僕の知らぬ草花が
 疎水沿いに笑みをたたえて咲いている

 なんだか躊躇したが手を伸ばしてみる
 たんぽぽだけは知っていた
 あと二つちっぽけな草花を摘んで
 同じく大きな荷物を背負っている彼女に
 おみやげに持って帰る

 どんな顔するだろう
 なんだか恥ずかしいけど
   
   ワクワク

     おみやげだよ

       ドキドキ
    
   わー きれい

 やったぁー



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