街/明日殻笑子
 
顔もなく通りすぎる人々はきっと

混り気のない白に苛々させられたのだろう

けれどそこに燃え尽きたよな

黒が垂れてよごされれば顔を顰める


太陽が氾濫して

アスファルトが溶け出さないかぎり

メトロポリスな未来が追随するよ


顔を作り笑い転げる人々はきっと

そうすることで白を塗り潰そうとしたのだろう

けれどそこに燃え尽きたよな

黒を垂らすほどすさむこともできずに


若者が氾濫して

アスファルトに広げたクロスは

メガロポリスにかなしい目を向けるよ


息をきらすほど若くはないし

涙流せるほど青くはないし

空の色だけが正しく褪せてゆく

だから垂れる黒を振りはらって 息をきらしたんだ

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