雨/
佐藤伊織
それがどこから降っているのか
何時やむのか
今がいつなのかもわからない黒い雨
傘の中に閉じ込められた
空気の湿った匂い
耳を塞がれた胎児のように
雨に打たれたまま眠っていれば
だれかが
ユリカゴを揺らしてくれるだろう
骨ばった白い腕が
瞼の裏側を過ぎる
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