いばら/暗闇れもん
眠り姫は現実を見たくなくて
森の外れに住む魔女から小瓶を貰い、飲み干しました
紫色にキラキラした小瓶の中にほんの少しの眠り薬
決して何年も眠れる様な量ではなかったと
火あぶりにされた魔女は泣きながら答えました
これを私が知ったのは窓辺で
遠い国ばかり旅する鳥達からで
私はただただ
その姫が羨ましくて
その小瓶がどうしても欲しかったのです
紫色に輝く小瓶が朝日に輝いて
現れたのはそんなある日で
手に触れるのも躊躇うくらい
夢のような話
この小瓶のふたを開けると
スミレの花の香りがします
小鳥も来ないある昼下がり
一人ぼっちのベッドの上で
私はずっと
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