「解放戦線」/k o u j i * i k e n a g a
 
ぞ、この人殺し、と言って
この男は息子を殴るのだ
なにせ平凡な男だ
自分が外でしてきたのと
同じようなことを息子にして
幼い娘を泣かすのだ
凶暴な娘は泣くのだ
兄を殴られた娘は泣くから
妻は止める
男は思う
俺が苦しむのはなぜか
平凡な男は悩む

彼には答えが用意されていない

彼は夜中にテレビを見る

おいおい
この映画では俺みたいな
若く醜い兵士が歓迎されている
ガキどもは若い兵士の戦車を
憧れと敬意に満ちた眼で
見つめているじゃないか
なのに、なぜだ
なぜ俺は

彼は本当に平凡な男だ

 失敗だった焼け跡は
 薄いお兄さんたちの
 生き埋めが山積みだった
 彼らは飼い慣らされて
 エサをほおばる
 焼け跡だけが寒く
 エサを求め歩く昼だ

 最後にもう一度
 爆竹だったら良かったのに
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