「解放戦線」/k o u j i * i k e n a g a
 
 爆竹だったら良かったのに

 失敗だった焼け跡は
 遠いお兄さんたちの
 黒コゲでいっぱいだった
 彼らは飼い慣らされて
 エサを待っている
 焼け跡だけが寒く
 エサを待っている昼だ

 もう一度
 爆竹だったら良かったのに


一人の男がいる
(平凡な男でないといけない)
男がいる
家族のもとに帰ってくる
幼い娘がいる
出迎える娘は男に飛びつく
娘は凶暴だ
男にとっては天使である
凶暴だ
男は娘の額に触れようとするが
ちょっと戸惑う
自分の手のにおいが気になるのだ
色を確かめる
肌色
娘は飛びついてくる
なにせ凶暴だ
娘のキスは凶暴
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