夜/葉leaf
んでくるのだ。夢の裏地に音が作用することで、一つ一つの像が結ばれてゆく。旋律が蛇行(進行は常に蛇行である)しはじめると、例えば血の流れる河から割れた太陽へと、醜怪な鉱物から見えない槍へと、映像は滑ってゆく。
和音が裏地に作用することによって、組み合わされた像が結ばれる。血の河には暗緑の橋が架かり、その欄干を抽象化された火鼠が走ってゆく。太陽の片割れは苛立ちに密封され、紫に貫かれて光を強める。鉱物からは無数の見えない槍が生え、その直下で愛が筒状に変形する。
今夜、夜は静謐な正しさを備えている。夜は七対三の割合で悔恨と喜悦から組成されていて、無限に反復される悔恨の袋の中心部に濃縮された喜悦が配置されている。今夜、これまでの夢の連鎖が私の本質を取り囲み、私の悲劇を次々と照射している。私は私の背後へと退行し、無数の指を突き出してくぐもった叫びを射出してゆく。今夜、私はどんな夢に見舞われるのか、そしてどんな踊りを踊るのか。
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