酸欠になるほど青い空/紫音
突き抜けるほど透き通った青空
の耐えられないほどの軽さ広さ
無言の圧迫に押し込められて
呼吸をするのがもどかしい
放物線を描くように飛翔する
カラスは君の影だとして
影さえも越えない障壁
そして影にさえなれない
足元の横隔膜が痙攣する
立っていることそのものが
無数の行為へ還元される
一つ一つの無意味な行為が
螺旋状に連なって
再構築されるのは十字路の信号機
高さを増すガラスの塔
が反射する陽光を浴びて
生まれ変わる幻覚を放射する
見つめているのは僕
見つめているのは君
交錯する視線に乗せて
歪み軋む空間が
時の断絶を招き寄せる
街路樹の下で転寝する灰っかぶりの猫が
あくびをしては首を傾げてまた眠る
空の青さが停滞へと連結し
漂う空気の湿った濃密さが
首筋を暖かく締め付けていく
カラスは飛んだか
猫は鳴いたか
ただ問いかけることは他愛もなく
生きていくことのためだけに生きて
葉が青すぎて痛いように
そのものがまた意識を霞で包み込む
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