未完の思い出/do_pi_can
ちゃぶ台にて
祖母が
むく
ひび割れた
湯飲みの
影が
長く伸びる
練炭の
匂い
かつて,
妹が
一酸化中毒になりかけた
ちゃぶ台の
祖母は
萎びていた
それ以外は
漠たる
思い
裏には
畑があって
刈り取った草を焼くと
臭かった
製材所の
音
小さな鉄工所の
音
貨車の
音
小学校の
音
小さな
ひなびた
町
山の神が
治める
町
今は
閉ざされた
鉱山がある
町
かつて
銀が採れた頃には
十万近い人が住んでいた集落も
わずか数十人を
残すだけの
町
カドミウム
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