セメダイン買い占め命令/カンチェルスキス
のは、意外と知られてない事実だ。
そしておれは課長に至近距離からシュートを浴びせる。というのも、課長がゴールの前に立ってるからだ。そこにいなきゃ、例えば、課長もしくは課長と呼ばれてる者が真夏のオフィス街の通りでふと立ち止まり、紺色のハンカチで額の汗をぬぐってりしてたら、おれだって至近距離からシュートを打つことはなかったんだ。そこにいるから。ゴール前に。課長もしくは課長と呼ばれる者が。どうしようもないことだった。課長はそして、快感に笑うのだ。
考えてみると、ゴールを決められた後の後ろめたさが快感だからと言って、まったく守る気がないGKがいたとしてもおかしくない。シュート打たれても知らんぷりで
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