午後と光/木立 悟
 



ちぎれたものの上を歩む日
歩まざるを得ない虹の日
窓に映る声はひと文字
ひろくまばらな
ふつふつとまばゆい浪のはじまり


みどりいたみかなしみ
そのどれもが互いを二度さわり
離れゆくうた さする指さき
みどりにのぼる
いたみにのぼる


あふれるものらはあふれあふれて
ただ流れの跡ばかりが蒼く重なり
片方の目をまだらに隠し
補虫網に捕らえられた
若い蝶のように脈うっている


かがやく空の立体に
花は目をふせ しがみつく
まぼろしはなく そのままがあり
かたちは聞こえ しぶき しぶき
声は声にふりかかる


とどろきは着き 応えになる
木々から木々へ 
鳴りつづける火
うたになり うたになり
空をまわす











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