心からはじまり、心におわろう。/まほし
あいされたい
きれいに見られたいと思って
心を宝石で飾り立てても
光の底に泥沼がよどむでしょう
あいされたい
つよく見られたいと思って
心を諸刃の剣で守っても
自らも世界も黒い血でむせぶでしょう
喜びの種からは喜びの木が
悲しみの種からは悲しみの木が
太陽の手に育まれて
次の種に環るなら
あいされたい、という
見せかけの言葉を裏返して
あいしたい、という
生まれたての瞳のような心を開いて
心からはじまり、心におわろう。
そして再び
ささやかな欲さえも
しなやかな枝にかえて
天に包まれるように
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