深海の詩(うた)/紫翠
雪が降る
青くて暗い つめたい世界
ゆきが、つもる
世界中の亡骸は声も無く
指を、まぶたを白く埋める
墜落した星の最期のまたたき
時が止まる
ときをとめた
どうか、このまま
声は囁く
もう、引き返せなくていいの、と
ゆれる水音
瞳の奥に
ゆらゆら 映る 太陽の影
こぼれるような あなたの笑顔
深海の白い砂
うずもれた宝物を 両手でそっとすくいあげよう
今、あなたの手で扉が開く
あふれる 光の中
風の囁きを聞いた 朝
私はあなたにただいまを
動き始めた時計の国で
私は また足を止め、振り返る
あの海の底へ、懐かしく思いを馳せる
けれど
私の名を呼ぶ、君の声がこの耳に届くから
もう一度 もう一度
戻る 編 削 Point(1)