桜ホリデー/落合朱美
 

遅い春が さらに足踏みをして
私たちの日曜日は
台無しになってしまったけど

公園からの帰り道
陽当たりのいい住宅街の一角で
うっすらとつぼみの綻んだ
可憐な桜を見つけた

ブロック塀の向こうから
道端に大きくせり出した樹は
ねぇ、ねぇ、見てよ って
腕を伸ばしてるみたい

通りすがりの母娘連れは
お祝い事か発表会か
桃色のドレスに身を包んだ少女は
リボンを飾った頭をつんともたげて
せいいっぱい澄まして歩いてゆく

ああ、おんなじね
桜も貴女も そして私も

すこし着飾った特別な日には
みんなに見られたいと思うのよ
誰かに褒めて欲しいと思うのよ

貴方は桜と少女ばかりに
微笑みながら見惚れているけど






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