空き地/佐藤伊織
そこは空き地だった
人影もない
空気の抜けたタイヤが積まれていた
交差点の信号機の
信号の変わる音がする
聞こえなかった声や
話さなかった言葉
みつかならないように
こっそり隠しておいた
誰も知らない場所
壁の隙間 コンクリートに道を作る蟻
煙草の欠片 ビール瓶のカケラ
閃光をみようとしていた まだみえる
まだ閃光がみえる
雲のように淀んだものに腰をかけて
建物を見上げていた
この先にきらきらと
刺すような光がみえる
どうか どうか
飲み込まれ 深く
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