桜貝/石川あんこ
 
           
        鈍空から軽い桜貝がほろほろ降ってきました

          小高い丘の上を列車がぽてぽて北にゆく


                
               体躯に突き刺す芳しき大気の、鋭利
 
          表皮の感覚恨めしきかなそれは季節への、実感

         眩暈を誘う透明な頬に薄く生気を滲ませる、車掌

          舞い散る吐息と静寂の手袋 反比例の接点、静白

                霞む光は低空で燃え盛る唯一、淡光
             
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