君に/水在らあらあ
 
君に


 君の心と僕の言葉が反対を向いてどうしようもない時は
 僕のことをへちまのちんちくりんと見なして
 うっちゃってくれればいいよ

 僕は少し酢とかにんにくとか
 鼠の尻尾とかラヴェンダーとか思い出だとかさ
 そんなことにやられているだけだから

 油の浮いた港の水に
 漂う鰡の腹の白さに

 火で焙ったタアルの匂いに
 神をけなす言葉に


 ローズマリーに
 錆びた釘に
 レモングラスに
 薔薇の棘に

 
 鳴り止まない賛美歌のなかで
 命をほったらかして
 駄々こねているだけだから

 呪われたふりをして

 美しい
 
[次のページ]
戻る   Point(12)