10までを数えて/霜天
 
ようと繰り返している
そんな姿を



1から始まって、きっと帰っていけるから
10まで、ほんの少しだけ
数えておいてくれないか
きっともうすぐで、僕の物語だ



嘘をつかない、ことについて
僕らはもう傷だらけになってしまう
どこまで武装していけばいいだろう
包帯も切れて
戻るための靴底もない
スカイブルー、それがよかった
余計にならない傾きで残っているベンチで
いつもその先に座って



数え終えてくれたなら
ほんの少しだけ聞いてほしい
きみの街がもう夜ならば
閉じている目の隙間からでも
きっともう僕らは見えない
その方がいい、のかもしれない
夜という夜のために
夜がある世界のために
零れていった誰かのことを
忘れてしまった空が揺れて
それは気紛れとも
僕らのせい、とも


1から語ってみたとして
後には何が残るだろう
眠れない夜にほんの少しを
10までをそっと、数えたくて
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