われわれは技術でできている/安部行人
われわれのうちの多くは、自分の脚でいろいろなことを行う。
走り、跳び、ボールを蹴り、時には自分の頭より高く脚を振りあげたりもする。
だがこれらの動作はまず、「歩く」ということが出来なければどうにもならない。
2本の脚で歩くということは、多くの人がごく当たり前に行っている。
しかし、「歩く」というのは、学習しなければ行えない「技術」である。われわれはある日突然歩けるようにはならない。まず手足の全部を使って這いまわり、それからどうにか直立し、何度も転び、バランスを取る事を覚え、そうしてようやく歩けるようになるのだ。
歩けるようになると、歩くということそのものはどんどん意識されなくなる
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