菊の花/
日和
かったはずだけど
ねえばあちゃん
菊は私 あまり好きじゃないよ
ばあちゃんのまめだらけの手は
みぞおちで固くにぎられて
まめなんか見えなかった
ただの皺だらけの手になっていた
もう怒る人はいないのに
いなくなってしまったのに
いまだに花が摘めない
『野に咲いとうのが美(うつくー)しかと』
皺々の顔をさらに皺くちゃにして笑った
ばあちゃんの眩しいほどの眼差しが思い出されて
来年は
菊の花を植えようか
ばあちゃんの
庭に
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