その先生のことは案外、嫌いじゃなかった/AB(なかほど)
 
の床からもっそりと長髪が浮き上がってきた。
先生、文学ってそんなに身体に悪いことなのかな。

退院して戻ってきた二人の女子の笑顔はクラスでとびっきりの笑顔で、それをみんな笑顔で迎えたけれど、みんなちょっとさびしげだったのは、また、いつかその笑顔消えちゃうんじゃないか、それはもう明日かもしれない、って

それに、先生の方が教室に来なくなっちゃった。

先生はあの後もどっかで国語の先生でいられたのかな。

別に今は会いたいというほどのことでもないけれど、僕らは先生のことは案外好きだったのかもしれない。

それから先生、車の給油口を壊したのは僕達じゃありません。
(おそらくいまだに疑われているのだろうなあ)




  

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