海が鳴る頃夕食を/オオカミ
 


アスファルトから立ち昇る 海鳴り
夏が来る



電柱の濃い影に佇む


きょうは おみそ汁を作ろう




白く焼けていく夕暮れに

息をして





どんなに素晴らしい台詞よりも
わたしには 汗ばむ身体がたいせつだった


嗚咽は歌詞のない うた



泣いてなんかないよ

ただ

息してるだけさ










腫れ上がった乳房に

ふちどられた睫毛に

そろえられた爪に

しめったくうきの おもさに


食(は)むような キス






泣いてなんかない

ただ

息してる

息してるだけさ




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