にわとりは鳴く、それも、こう鳴くという/まきび
弟が居間で音読をしている
小学五年生
勉強もそろそろ難しくなってきた
何度も何度もつまづきながら
大きい声で読んでいる
教科書には
四匹の生き物がいた
にわとりコケッコッコー
犬ワンワン
ぶたはブヒヒブヒブヒ
女の子アハハハハ
生き物とのふれあいを描いた
子ども向けの童話らしい
なぜ小学校の教科書は
ゆめばかりをたくさん
語らなければならない少年に
決まってつまらない話ばかり
何度も繰り返させるのだろう
にわとりコケッコ
犬ワンワン
ぶたはブヒブヒ
女の子ウフフ
ああ せんせい
動物たちは死ぬときも
こういう風に鳴きますか
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