銀色の夏に生まれて/窪ワタル
 
分らない、難しいとおもうようなものでも、それはそれとして読む気になれるまで、私は「詩とメルヘン」の結構熱心な読者であった。

中学生にもなると「詩」にも、色々なタイプのものがあって、「現代詩」とか「近代詩」とかがあるのだと知ったが、この頃も「ポエム」と「現代詩」の違いはよく分らなかった。ただ、自分の書いているものに納得が行かず、漠然と憧れていた詩人は、中原中也や、萩原朔太郎や、高村光太郎のような「近代詩」の詩人であった。もっとも、田舎の本屋や、学校のオンボロ図書室には、そうした有名な「近代詩人」の詩集か、谷川俊太郎氏か、あの、銀色夏生氏の詩集ぐらいしか置いていなかった。図書室には少しは現代詩の
[次のページ]
戻る   Point(7)