午後/
 
風が乾いて
産み落とされる憂鬱
港では帰って来ぬ船が
噂からも消えてしまう

金色だった太陽の
錆がサドルに積もって
抜け出せない
足も絡めとられ
抜け出せない
叶うわけのない幻想が
川もない橋を渡る
黙って渡る

轡(くつわ)の鳥が
眠りの羽で撫でる
ただ眠りはこない
涙で目は塞がらない
それは永遠の囚徒には
やさしすぎる罰だ

空は雲もまばらで
感謝されるべき青だ
行き交う靴音が
異国の言葉をしゃべる
海の底では
いつかの約束が揺らめく

ジーンズの似合わぬ歌が流れ
汽笛が遠い夢のように泣いている
縋るものは白日の滲み
手のこうを切り裂いて歎く午後





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