月下心中/なるせ
 
最後



口にするには浅はかな日々

正しいのは何だ

正しいのは誰だ

ちがう

正しさなんてない



希望も絶望も

同じ望みからうまれたと知った日

泣き腫らした目できみが言ったんだ

「もう、やめよう」

その響きがぼくの白い胸を抉る










白い鳥

撃ち落とす

夢をみた










月明かりのようにやわらかな

愛撫を繰り返した指先

今は、痛い

ふれあえばいつでも魔法を信じた

痺れそうなその温度を

信じた





どんなに遠ざかっても

忘れないはずだ

忘れないさ

うそだ

そんな保証どこにもない



けれど、ぼくら

告げるよ





それが、別れだとも知らずに





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