異形の詩歴書 高校編その2/佐々宝砂
 
くまでショートカットだわで、ヤンキーには見えなかった(と思う)。単に上着は短くスカートは長くしておきたかっただけなんである。長いスカートは不便で、自転車に乗るとバサバサ風にはためいてうっとうしかった。よく裾を踏んづけてコケた。バスの自動ドアにスカートをはさんで破ったこともあった。なのになぜスカートを長くしたかと訊かれても困るが、まあ要するにそんなものが流行っている時代だったのだ。

 今思えば、高校入学当初の私にはロールモデルがなかったと思う。ああなりたいという憧れの対象がなかった。なりたいものがなかった。美人を見てもああ綺麗と思うだけだったし、カワイイ子を見てもああカワイイでおしまい。有名
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