異形の詩歴書 14歳冬/佐々宝砂
 
 お年玉の全額を本に変えるのが習慣だった。地元ではまともな本が買えないから、母の実家がある街で買った。母の実家は一応県庁所在地にあって、その周辺にはそれなりに書店や古書店があったのだ。一年に一度か二度しかそういうところに行かない私にとって、書物にあふれた店は魔法の扉に満ちた目がくらむような世界と思われた。買いたい本がありすぎて、もうどうしたらいいのかわからない。

 特に古書店は、不思議がいっぱいの魔法のお店だった。BOOK OFFのような小綺麗な古書店がある時代ではない。あまり整頓されていない店だと、アダルトな本も童話もごちゃごちゃに積まれていて、そこには一種異様ないかがわしい雰囲気さえ漂
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