酔い覚め(サラリーマン諸君!)/ZUZU
きないな
学生のうちにつくっておくべきだったのだ
だけど友達はもういない
おじいちゃんももういない
おばあちゃんももういない
あんなに可愛がってくれたのにな
真っ暗な部屋のなかに帰っていくと
鍵さえかけていなかったことに気がつく
無防備なら何もかも盗まれるような
そんな無用心で
そんな臆病で
でもほんとうは
だれも僕の大事なものが何かなんて
わかっていやしないのだ
あああの娘に会いたい
でも会ったらきっとがっかりするだろう
あの娘はそういう気性だから
だから会いたいのに会わないのがちょうどいい
きっとあの娘もそうおもっているのだろう
買って来たカツどん
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