異形の詩歴書 14歳秋/佐々宝砂
 
 夏が終わって、私はまた学校に行ったり行かなかったりの日々を過ごした。学校に行けばまあ成績は中の上、ほとんど図書室で本を借りるためだけに学校に通っている生徒だった。その当時、私には目も合わせないくらいお互いに嫌いあってた同級生というのがおりまして(実はこいつこそが私のファースト・キスを奪ったバカヤローである。しかもそれは幸福な体験じゃなかった)、で、そいつがあるとき、教室のうしろの黒板に突然こんなことを書いたので私はびっくりした。

「人間は血のつまったただの袋である」

 そいつとは実に喋りたくなかったんだが、その文章がどこから出てきたのか知りたかったので(そいつが自分で考えたとゆー
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