*春を見にいく*/かおる
 
春のスウィッチはさくら色
澱んでしまった想いもほどかれる

咲いた咲いた春が咲いた

萌黄いろのそよ風に乗って
ほんのりと街が色づいていく

ふらふらと漂い気分浮上中

山からの冷たい風と
海からの暖かい風鬩ぎ合い
春風は暴風級の悪戯好きで

遥かかなたの
タクラマカン砂漠やゴビ砂漠から
偏西風で運んできちゃった黄砂は

蒼いはずのそらに紗のカーテン
春霞よりもきっぱりとした重力

日食されたお日さまは
よわよわしくほほえみ
夕焼けも赤く発光せず
夜に飲み込まれていく

山に縁取られた街の花
膨張を続ける都よりも
薄紅色を凝縮していて

集めた光を放出するのか
宵闇にボワァッと浮かぶ

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