遠くなる/さち
君と初めて会ったのは
病院の白い背景
小さな小さな君に
どんなに 喜びをもらっただろう
今はもう
上から見下ろされている
目の前に君が座ると
その背中で テレビが見えないんだ
あの頃はいっぱい抱っこしたのにね
触っていいものかどうか
ちょっと迷うんだ
広くなった肩幅も
なんか少し 照れるんだ
何か理由をつけて
ちょっとだけ触れてみたら
やっぱり 君の手触りだった
けれど
もしかしたら
知らない男の 手触りだった
きっと 私の知らない誰かが
柔らかく腕をまわす・・・
なんか切ない 手触りだった
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