たたかうんだよ/yuma
 
「『たたかう』んだよ。」
生まれて初めてRPGゲームというものをやった私に
見るに見かねた兄はそういった。
ブラウン管に広がる広大な異世界を前に
右も左もわからない私は
兄の言うがままにカーソルキーを『たたかう』に合わせて、決定ボタンを押した。
まだチュートリアルすら脱していなかった私の主人公の記念すべき初めてのガッツポーズ。
結局この日以来あのゲームのセーブデータを開くことは無かったけれど
あの勝利のときに流れたBGMは悪くなかった。

「たたかうんだよ。」
家の中の物置小屋を漁る兄になにやってるの?と聞くと
神妙な顔つきで兄はそういった。
薄ら笑いを浮かべた学生たちを
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