*花散らし*/
かおる
爛漫の春、日の光を一心に集めて
桜は夜に発光して花吹雪を降らす
花びらを拾い集めたその手
今は傘の花を咲かし
砕け散ったこころを
ジグゾーパズルのように
張り合わせる
欠けてしまった追憶に
一枚一枚花びらを散らすと
縫い付けられた春は
甘いあまい薫り
ほころび始めた想いも
雨粒に
静かに
溶け出していく
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